これ、いったいどうやったら売れるんですか?

身近なマーケティング

『これ、いったいどうやったら売れるんですか? 身近な疑問からはじめるマーケティング 永井孝尚著』を読みました。

著者の永井氏は、元IBMの方で、『100円のコーラを1000円で売る方法』の著者の方だそうです。読んだことは無いですが、店頭で見かけた記憶があります。今回の本も『100円の〜』もキャッチーなタイトルですね。

この本はサブタイトルの「身近な疑問からはじめるマーケティング」の通り、身近にある商品やお店を題材にして、マーケティング理論の基礎を分かりやすく、そして面白く説明してくれる本です。

個人的には半分くらいはなんとなく知っている話ではありましたが、マーケティングについて体系的に学んだこともなく理解が浅いため、代表的な理論を分かりやすく説明してくれる本書はとても良かったです。

特に第3章の北海道産マンゴーでの顧客開発の話は、商品(プロダクト)開発に関わる自分にとっても非常に重要な話でしたし、第5章のセブンイレブンが近隣に複数あるのはなぜかという話は何気に気になっていたのですっきりしました。

お客さんが一番

第1章ではお客さんが欲しがっていてかつ自社だけが提供できるものを考えるバリュープロポジションの重要性が述べられています。また、第2、6章では、お客さんを思入れによって分類し、それぞれのお客さんが欲しがっているものを提供することで、より思い入れの深いお客さんになってもらおうという顧客ロイヤルティの考え方とその事例が紹介されています。

そして僕が最も興味を持った第3章では、真冬の北海道で育つ十勝マンゴーや口臭予防のリステリンなどの成功事例や3Dテレビの失敗事例を挙げながら顧客開発の重要性について述べられています。これは、商品開発を行う際は、商品中心の考え方に陥りがちだが、お客さんの隠れたニーズを満たす商品開発をすることで、新しいお客さんを獲得し成功できるというものです。

「そもそも、お客さんって誰だっけ?」
「これってお客さんにとって、何がいいの?」
もし商品開発に行き詰まったら、この2つの言葉が必ずヒントになるはずだ。
プロダクトアウトに陥って、いつの間にか見失っていた顧客開発という当初の目的を思い出すためだ。常にお客さんの姿を頭の中に残して、商品開発を行いたいものだ。

第3章の最後でこのように述べられていますが、商品開発に限らず、どの理論においても、お客さんを正しく理解してお客さんが本当に求めるものを提供する(そしてそれに気づいてもらう)事が重要なのだなという事を本書を読んで感じました。

少し意外、というよりも理解が浅かっただけとしか言いようがないのですが、マーケティングというと、どこかお金の匂いがするテクニック的な話が多いのかなと勝手に思っていたのですが、そうではなく、上で述べたようなお客さん中心に考える事、そして商品開発とも連続性のある話なのだという事を認識できたのが、本書を読んでの一番の収穫でした。

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